いっそ宝箱

日々のあれこれや何かの感想、考察という名の妄想など

銀魂と私

現在29歳の私が銀魂と出会ったのは15歳のとき。

当時の私は中学3年生で音楽部だった。
音楽部の主な活動内容は合唱、合奏、バンドごっこ、みんなでだらだらと話す、お菓子を持ち寄って食べる、自分達でゲームを考えて全力で遊ぶ、絵を描く、漫画を読むなど。
大人しい学生だったので顧問もあまり見回りに来なかったし、ゆるい部活だったので規則もなかった。
というか、先輩が居た頃は「挨拶、敬語、後輩は音楽準備室しか使うな」というルールがあったのだが、私たちの代でそれを無くした、というのが正しい。先輩が卒業して即ゆるくした。でも先輩達も後輩に厳しかっただけで漫画読んでたしお菓子食べてたと思う。

そんなゆるい部活中、友人が持ってきていた漫画が銀魂の8巻だった。土方さんが表紙のやつ。
衝撃だった。漫画でこんなに笑ったことない、というくらい笑った。銀魂は私にとって初めてのギャグ漫画との出会いでもあった。

かといって友人に1巻から借りるでもなく、漫画のタイトルを覚えるでもなかった。

しかし違う友人の家に遊びに行ったとき、友人が持っていたジャンプを読んだときにまた銀魂と出会った。
阿音と百音が出てる回だった。笛が百音と銀さんの口にハマっちゃって取れなくなって、二酸化炭素交換しあってるやつ。
あれを読んでまた爆笑して、「なんだこの漫画!!」と思ったら銀魂だった。そういえばあの時爆笑した漫画も銀魂ってタイトルだった、と思い出し、この漫画がどうしても欲しくなった。

しかし中学生のときの私のお小遣いは毎月千円。
お菓子と少コミを買ったらなくなってしまうのが千円だ。
少コミは内容がちょっとエッチだったので中学生の私には刺激的で、「小学生でりぼんは卒業した……中学生はやっぱり少コミだぜ……」とイキっていた。ゆえに少コミを買わないで貯金するという選択肢はなかった。少コミはバイブル。私の歪んだ性癖はたぶん少コミからきた。(鼻をほじりながら)

そのうち高校生になり、銀魂のアニメが始まった。

もう夢中。沖田くんに夢中。鈴村さんに夢中。
アニメおもしろい。楽しい。めっちゃ笑える。やっぱり漫画も欲しい。やっぱり漫画も欲しい!!!そう思った。
当時私はスーパーでアルバイトをしていたが、月給は4万ほど。そのうち2万は親に渡していた(ケータイ代含む)ので残りは2万。そこから定期代5千円を引き、残りは1万5千円。
当時銀魂はすでに20巻ほど出ていた為、全てを集めようとすると8000円近くかかる。

正直躊躇った。

高校生といえばプリクラも取るしカラオケも行くしミスドにもたまる。化粧もする。金が掛かる。高校生は金が掛かるのだ。1万5千円を毎月キッチリ使いきってる。

ということで私は、当時まだサンタさんを信じきっていた(もしくは信じるふりをして親にプレゼントを強要していた)小6の弟に「銀魂の漫画が全巻欲しいってサンタさんに手紙書きな」と命じた。
私はバイト代で弟にゲームのカセットなどを買ってあげていたし、私と姉にはサンタさんが来たことはなかったし、なにより弟は銀魂のアニメが好きだったので快諾してくれた。ていうかむしろ「ナイスアイデア!!」って感じだった。こんなにも「シメシメ」と思ったのはあの日が初めてだったかもしれない。

かくして私は高校2年生にして初めて銀魂の漫画をゲットしたのである。

それからは自分で単行本を集めた。
一気に8千円を払うことは出来なくても、二ヶ月に一回400円を払うことなら出来る。
銀魂はとても面白かった。爆笑できて、ほろりと泣けて、沖田くんは可愛かった。土方さんと沖田くんが特に好きだった。


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もはやプリクラもこんな感じだった。
当時は好きな画像をプリクラの背景にするってやつが流行っててねぇ、わたしゃそれをよくやったもんだよ。ねぇミチュコさん晩御飯はまだかい?

高校時代はブログが流行っていて、もちろん私もやっていた。CROOZブログで「沖田愛」ってタイトルで、アニメとか漫画のことを書いていた。当時はランキングにも結構上がっていたのだが、そのお陰でクラスの人達にブログがバレた。恥ずかしすぎてブログ閉鎖。しかし閉鎖日には初めてのランキング一位を取らせてもらった。

高校の卒業旅行は大好きな友人と二人で太秦映画村に行き、真選組ではなく新選組の衣装を着た。(もはや銀魂の影響で“燃えよ剣”とか“新選組血風録”を読破していた)
そして映画村に置いてある菊一文字のレプリカを眺めて、「沖田くん……」と思いを馳せた。
さすが映画村、そこには銀魂のコスプレをしている人達も居て、もちろん頑張って声を掛けて写真を撮らせてもらった。いい思い出だ。


高校卒業後即就職した私は、アルバイト時代と違い月給が14万とかになった。高校時代のほぼ3倍である。
実家暮らしなのでそのうち4万は親に渡していた(ケータイ代含む)が、それでも10万残る。
やべぇ。めっちゃ金がある。毎月10万もらえるのヤバい。すごい。
18歳の私はテンションが上がった。
私はアニメイトへ行き、欲しいだけの銀魂グッズを購入した。幸せだった。

しかし社会人になって一月後、私は肺気胸になり入院、そして手術をすることになった。
入院期間は一週間。
その間も銀魂にはお世話になった。漫画にもアニメにも。家族にDVDレコーダー持ってきてもらって、TSUTAYA銀魂のアニメをレンタルしてもらって何回も何回も観た。売店にジャンプ買いに行ったりして、銀魂を読んで元気をもらった。お陰で全身麻酔の手術にも挑めた。

ちなみに入院費は10万円。

親に「払ってもらうの申し訳ないから自分で払うよ」っていじらしく言ってみたら「そう?」って返されてさ、マジで払ってくれねーでやんの。お陰で実質無一文。実家住みだから暮らしていけるけど遊ぶ金なんてない。
そのとき、「これからは貯金をしなくちゃダメだ」と実感する。高校時代のように全額使いきってきたらヤバいぞ、と。(ちなみに一人暮らし5年目の29歳現時点で貯金はゼロ☆あの頃の私カムバック☆)


それから私はコツコツ貯金をしながらも沖田くんに貢ぐようになった。
銀魂小説版も全部読んだし、もちろんアニメも観続けていた。そのうち沖田くんのコスプレを一度だけしたり、土方さんのコスプレを一度だけしたり。銀魂と、そして沖田くんと、常に人生を歩んできた。アニメ映画になったときは二回ずつ観に行ったし、実写も二回とも映画館に観に行った。大好きな銀魂がみんなに愛されていることが嬉しかった。


ねぇ空知、あの頃15歳だった少女は29歳の独身アラサーになったよ。


最終回に向けて走り出している、と分かった70巻あたりで、私は一度銀魂を読むのを中断した。
コミックスは発売日にすぐ買う。買うけれども、買うだけで読まなかった。最終巻が出てから一気に読もうと決めたのだ。そのせいで「あれ?これ買ったっけ?」って分かんなくなってもう持ってる巻をもう一度買うというミスもおかした。私はブックオフに売りに行った。

そしてついに最終巻の77巻が発売。
20代最後になる今年の夏、止めていた時間を動かすように、読むのを中断していた70巻から一気読みした。

やっぱり銀魂はおもしろかった。声を出して笑うことも多く、シリアスな内容が続く中でギャグを入れてくるこの手法すごく好きだなぁとつくづく実感した。
おまけページで空知が「まだ終わりませんすみません」と謝る度に「謝らないでくれ」と思った。「終わらないでくれ」と願った。
そのくせ“テニプリっていいな~”で爆笑して、許斐先生が描いてくれた表紙で「え!?描いてくれたの!?!?」ってまた爆笑した。

銀魂は私の青春だったし、ギャグのバイブルでもあった。銀魂の言葉遊びがすごく好きだった。「いやそんなこと言ってるけどお前~~だからね」とか「~~してんなオイ」とか「何が○○ゥ!?!?」みたいな独特の喋り方、漫画らしくない、漫才見てるみたいな自然な喋り方の台詞も大好きだった。

銀魂の喋り方してる奴は大体腐女子だとネットで言われ始めて喋り方を気にするようにしたが、そのうち「好きな漫画が銀魂の女は大体腐女子」と言われるようになって逆に開き直った。
うるせーーー!!隠れてコソコソ生きてる腐女子をあぶり出すようなことばっか言いやがって!!これは魔女裁判ですかコノヤロー!!!じゃあもうあれな!!To LOVEる読んでるやつ全員エロいことな!!!ちなみに私はヤミちゃんが好きです!!!BLACK CATの時から決めてました!!!!


そんな感じで、周りから何を言われても銀魂がずっと大好きだった。
私の一人暮らしが決まったとき、弟は「銀魂はぺんちゃんが持っていっていいよ。買ったのほとんどぺんちゃんだから」と言ってくれた。ありがとな、サンタさん(親)が買ってくれたものなのにありがとな。


空知、いや、空知先生。
素敵な漫画を本当にありがとうございました。
たまにジャンプを買ったら銀魂が下書き(ネーム?)状態で載ってる時があって、「単行本でよく締め切り守れないって言ってるけどあれガチだったんだな~」などと呑気に笑っていました。
空知先生に売り上げが入ったかは知りませんが、初めて買ったアニメのDVDも銀魂でした。沖田くんが地愚蔵と組んで土方さんを監禁するやつです。
沖田くんは最終巻に向けてどんどん強くたくましくかっこよくなっていきましたね。昔は“萌えの対象”としてだけ観ていたのに、今では萌えの対象であり息子のようであり、って感じです。複雑~!!!
とにかく、沖田くんは私の人生にとって初めての“推し”でした。Sだからこそ打たれ弱い可愛い人。漫画のキャラにこんなに夢中になったのは初めてでした。

空知先生が尻からひねり出してくれた宇宙、本当に楽しかったです。
どの話も大好きだった。どんどん楽しませてくれる作品だった。最終巻に向けて今までのキャラがどんどん出てくるのもすごく胸が熱くなったし楽しかった。空知先生は愛の塊のような人です。

はーっ、銀魂が大好き。
映画も楽しみにしてるね~~!!!お疲れさまでした~~~!!!次もよろしく~~~!!!