いっそ宝箱

日々のあれこれや何かの感想、考察という名の妄想など

毒親育ちの受難

「あんたが産まれるとき、お父さんはパチンコしてたんだよ」

と昔から母によく言われてた。
父は私のことがあまり好きではなかったらしく、私が“みんなが弟ばかりを構う!!”と嫉妬し、自分もみんなからの注目を集めたいと家出をすれば普通に頬を叩いてきたし(母からも父からも“寂しかったんだね”と認めてもらえない、迷惑をかけやがってと言われるだけ)、親戚の家から帰りたくないと喚けば帰り道の途中でも「じゃあ降りろ!!」と道路の真ん中で車から降ろさたりした。(子どもとしての癇癪や我儘は一切認められない傾向にあった)

「なんでやろうな、○○(姉)とか△△(弟)にはそんなむかつかへんのに、あいつだはやけに腹立つんや」
と、父は母にこぼしていたらしい。そんでまた母もそれを私に言うという。

そんでそんな話をしていても父と母の仲は最悪に悪かった。子ども三人も産んどいてそんな、という話だけれどとにかく仲が悪かった。
父は嘘つきで、自分の非を認めない、謝れない、ギャンブルで借金を作っている自分大好き自分肯定マンだったし、母はヒステリックで自分大好き自分以外はみんな馬鹿マンだった。
そんな二人だからよくぶつかっていた。

私はよく母から「馬鹿」と言われ「ブス」と言われ、細くて黒いので親戚のじじいには「ごぼう」と呼ばれた。
母は典型的な毒親タイプで、「お母さんの言うことが一番正しいんだよ!!」「あんたはお母さんの言うことだけ聞いてればいいの!!」と怒鳴り、私が自分の意見を言うと「またそうやって逆らう!!なんで逆らうの!?」と責めてきた。

専業主婦だったのに「お母さんはお母さんをやめたい」と言い、小学生の時からお風呂掃除や洗濯物の取り込み、洗い物やお米炊きなどをさせられ、夕御飯前に手伝わないとそりゃまぁ怒鳴られた。どれだけ上記のような家事手伝いをしていても「あんたは自分のことしか考えてない!!」と母は叫んだ。
遊びに行って疲れてうっかり寝ようもんなら「遊んできといて疲れたなんて調子にのるな!!」と蹴って起こされたりした。

中学生になったら洗濯取り込みたたみ、洗い物、お風呂掃除、お米炊く、夕御飯手伝いプラス朝は自分のお弁当作り。いやおかん専業主婦やのになんもやってへんやんけ~!

高校生になった私は遊ぶ金欲しさにバイトを始めたのだが、「あんたが自分の意思でバイト始めたんだから」と、学校から一度帰宅するとお米を炊いて洗濯物取り込んでからバイトに行かなければならなかったし、バイトが終わって21時過ぎに帰宅するとご飯を食べる前に「お風呂掃除してないんだけど!!」と怒られたりした。
そんで朝は化粧もするしお弁当も作らないといけないし学校が遠かったから、毎日5時起き。全然寝てないから授業中に寝てた。勉強ができなくて、先生からもよく「あんたを見てるとムカつく」と言われたりした。私を褒めてくれたのは小4のときの担任と高3のときの担任だけだった。あの人たちは私の作文を評価して、川柳も褒めてくれた。あの人たちにはどうか幸せでいてほしいと今でも思っている。

姉も中学時代はお弁当作りを頑張っていたし私もその恩恵(姉が作ってくれた卵焼きやウインナーをもらう)を受けていたのだが、高校に入ると部活で忙しくなった。遅くまで部活をしていたので朝に起きれず、結果的にお弁当も作れない。母は「ケータイ代も部活代も出してやってんだからお昼代はやらない」と姉にお小遣いを渡さなかった。姉は友人からお弁当を分けてもらったり、水道水を飲んで凌いでいたらしい。(母も「さすがにあれは虐待だった」と振り返っていた)(いや呑気に振り返っとらんと反省せぇ)

私もバイトで三万五千円くらい稼いでいたが二万は親に渡していた。私が稼いだお金だからと思うばっかりで、水道水を飲んでる姉にお金を渡すこともなかった。いや親がちゃんとしてれば私がこんな罪悪感に襲われることもなかったんだけど、親があんなんなんだからもっと助け合っていけばよかったなと今は思ってしまう。でも私は部活をして輝いて髪を染めてピアスを開けて恋をして、部活で疲れているから朝は起きられなくて遅刻ばっかりしている、そのくせテストでは欠点を取ったりしない姉に嫉妬していた。優しくなんて出来なかったのだ。

そして弟だけは愛されていた。
私にも姉にも来たことのなかったサンタさんが弟には来た(なんなら“パソコン使ってサンタさんっぽく手紙の返事書いてあげて!”と言われた)し、やはり母親にとって男の子というのは特別なのだろう。甘やかして甘やかして育てていた。
弟が中学生になると、母は私と姉が中学生だったときにはあんなに嫌がっていたお弁当作りも頑張っていた。保温機能つきのお弁当箱まで買って。
弟が風邪をひけば母はおろおろと弟に付きっきりになり、私に「アクエリかポカリを買ってきて!」と言ったりした。

一方私は風邪ひいたら怒られていたし、小学生のときは「しんどい」と早退を望んだら迎えに来た母に「家で寝てても学校で寝てても変わんないんだから学校で寝てりゃいいんだよ!!」って怒鳴られたし、吐きながらでも洗面器片手に洗濯物とかやらされていた。なにこの扱いの差。

そして「弟が高校を卒業するまで家は出たあかん、弟が高校生のうちはお前は働きながら家のこと手伝ってお金もいれろ」というのがうちの方針やった。
なので私は弟が高校を卒業して二ヶ月くらいで家を出た。内見も契約も全部一人でやった。私は昔からよく家出をする子やったので、一人暮らしという行為さえも家出と言われた。
引っ越しの荷物運びやらなんやらは姉と弟に手伝ってもらった。母には家を知られたくなかった。(結局知られるし母は家に来ることになるのだが)

一人暮らししてもう四年以上経つけど、今でも定期的に、多いときは月4、5回、少なくても月に一回は親の要望で親に会ってる。
会うたびにストレスが溜まって、右手の親指の爪が凹んだり、お腹が痛くなったり、ひどいときは急性副鼻腔炎になったりする。

会ったらされる人格否定。私が不幸じゃないと気がすまんくせに、泣き言を言ったら悲劇のヒロイン気取りだと話も聞いてもらえん。
最近はテレビとかでやってる特集やドラマの影響で毒親を自覚する瞬間があるようだが、それでもやっぱり人格否定や他の兄弟との差別は無意識なので、普通にしてくる。

親の顔色を伺いながら育ってきた。言うこと聞かないと怒鳴られたし否定されたから、親の気持ちを先回りして考えて、自分を削って生きてきた。夜ご飯は(手伝ってはいたが)毎日作ってもらえたし、小さなときは洋服を作ってもらったこともあるし、海とかプールにも連れていってもらったけど、自尊心や自己肯定感を育ててもらうことはとうとうなかった。

一人暮らしすることで、「自分で自分を育ててえらい!」と思えるようになった。あと五人分の家事(別にやっても褒めてもらえるわけではない)をするより、自分一人の家事をする方がずっと楽。自分で自分を褒めてあげられるし。なにより自由。親には定期的に会わないといけないのが苦痛。姉が「お母さんも会いたがってるから」と親を連れてくるとき吐きそうになる。私がどれだけ親が嫌いなのだと伝えてもお姉ちゃんは母を連れてくるし、「親を見捨てるなんて」みたいなことを言う。あなたはそう思うかもしれないけれど私は思えないのだと伝えても理解はされない。冷たい人間だと思われる。そういえばお姉ちゃんはお母さんに20を越えても誕生日プレゼントを買ってもらったりしていた。私は13歳で誕生日プレゼント制度終わったけど。

ていうかそう、毒親育ちの受難。
私はとにかく自分がない。

親に求められる「都合のいい子」を演じすぎて自分がない。人前に出るとそれを演じてしまう。そのくせ相手に傷つけられたら倍にして傷つけてやりたくなる。マウントを取ってしまう。我慢してても結局いつも爆発する。なんだこれ。
一番好きな自分は「働いてる自分」だ。お客様に接してるときの自分。
でもこれは給料が発生しているから出来るってだけで、給料も出ないのに人に優しい自分にはなれない、かもしれない。だって人に優しくすると下に見られて馬鹿にされるから。

誰といてもいつも一人だ。家に帰ると「しにたい」と呟いてしまう。どれだけ楽しいことしてもバイバイした瞬間もう無理。しにたいが溢れる。
虚無だよ。なんもないの。だってそもそも自分がないし。
私が好きになったもの、全部誰かの真似。全部誰かのオススメ。自分から好きになったものなんてない。本は好きかもしれない。でも本なんて誰でも好きだ。私は小説家にはなれない。ゼロからは何も生み出せない。二次創作をしているときは死ぬほど楽しかったけど、いまは創作意欲も湧かない。あの頃あんなに書きたかったし書かないとやっていけなかったのが嘘みたい。

婚活がすごく難しいことに思える。
いっぱい頑張って色んな人に会わないといけないんだろうけど、誰かを好きになれる気もしない。
誰かを好きにならないといけない。私のことなんてどうせ誰も受け止められないんだから、私が、相手の全部を受け止められる!と思わないといけない。
でもそんな人に出会えるのか?
数回会って、食事して、お付き合いして、それで本当に人を好きになれるの?嘘だね。そんなものは虚像だ。目的のために結婚するだけだろ。無償の愛なんて存在しない。と、思ってしまう。無償の愛を知らないくせに。
でも与えることは出きるんじゃないかと期待している。期待しているけど出来たことはない。
もしも子どもが出来たらそのときは、と考えるけど、自分が「どうしてこんな世界で生きてなきゃいけないの」と思ってるから本当に子どもが欲しいんかは分からん。生まれてしまったら生きないといけないから。台風は本当に怖かった。こんな簡単に自分が住んでる場所が被災地になるのか、と災害を甘く見ていた自分に呆れた。

婚活すんのやめよーかな。ほんましんどなってきたわ。貯金もないし。
愛される自信ないし、好きだと言われたこともないし、好きだと言われても嘘だと思ってしまうし。お前に私が愛せるわけない、という謎の自信。
そういえば小学生から高校生まで振られ続けてきたんすよ自分。へへ。いろんなところで自己肯定感って削られてんのかもしらんな。

誰か私のどんなとこが好きか言ってくれ。できるなら性格面で。私はそれを全否定するけど、それでも肯定してくれ。最初だけ頑張ってくれたら、それを思い出に私はずっとあなたを肯定するから。私は星の王子さまでいうとこのキツネなんだよ。だからなつかせて。なんてな。馬鹿みたいだ。筋トレしよ。